シェイド

詐欺師映画もギャンブル映画も、いかにしてカモを騙すかが重要な鍵であり、その手口を楽しむ点が醍醐味であるところが共通していると思うのです。が、その相性はというと、あまりよろしくないようでございます。天才的なサマ師(スチュアート・タウンゼント)と詐欺師(ガブリエル・バーン)が手を組んで一仕事、という内容なのですが、最初の仕事では事前にカモを信用させるためだけにしか使われず、本番でもプロの技が必要とは思えないような仕事のみで、どうもその技術が生かされていないような気が。スチュアート・タウンゼントの存在価値危うし。それでも「まだ一つだけ憶えていない技がある」と、伏線を匂わすようなセリフがあったので、その技をクライマックスで使って大逆転勝利をおさめる、みたいなラストを期待したのですが、その予想も見事空振り。最終的にカモになった相手も、彼がなぜはめられるのかが理由*1がはっきりせず、結局どっちつかずといった感じでなんとも消化不良な幕切れでございました。一流のサマ師という設定が観客のミスリードを誘うものだったとしたら、あのオチにも納得いくのだが。いや、やっぱ納得いかねえ。オープニングであれだけ素敵なテクニックを見せてくれていただけに、非常に残念。


65点(ストーリー30点+オープニングのイカサマテク35点)

この映画で伝説のギャンブラーとして登場するシルベスター・スタローン*2、ギャンブラーにぜんぜん見えないとかそういうことはさておいて、かつてアーノルド・シュワルツェネッガーとアクションスター№1の座を争っていた頃のような「俺様がオーラ」がなりをひそめて、脂っぽさがなくなりさっぱりしています。シュワルツェのほうは相変わらずがっついているというのに。演技力の向上にはつながってはいないものの(ラジーの常連)、とてもいい枯れ具合だと思います。

*1:気に入らなかったからって、そりゃねえだろ

*2:「スタ」は2回です。「シルベスタスタスタローン」とか言わないように