セイブ・ザ・ワールド

マイケル・ダグラスという俳優は、「フォーリング・ダウン」でのかなり主観の入った世直しを敢行するリストラマンや、「ゲーム」での訳が分からないうちに奇妙なゲームに巻き込まれて困惑する男、あるいは「ローズ家の戦争」での文字通り妻と死闘を繰り広げる夫など役の幅はわりと広いものの*1、そのどれにも緊張感というものがあまり感じられないのが特徴であり、そこが魅力なのだと思います。で、本作もマイケルさんのゆるい魅力が全開でございます。
今回の彼の役は世界を又にかけるCIA秘密捜査官。息子の結婚式が目前に控えているので、なんとか折り合いをつけながら世界を救うために飛び回ります。そのことは息子の結婚相手の家族には正体を含めて内緒なのだが、ちょっぴり神経質なお父さんにばれてしまい、仕方がないので彼を引っ張りまわして一仕事、といった感じでお話が進みます。ジェイムズ・ボンドやイーサン・ハント(またはコーディ・バンクス)もかくや、というような隠密行動や高層ビルダイブなどを披露してくれるのですが、コメディとはいえ、全体にそこはかとなく漂うのんき感はマイケルさんの緊張感のない演技のなせる業でありましょう。
ストーリーはアッチへふらふらコッチへふらふらと落ち着きないことこの上ないですが、こういうぬるま湯に浸かっている気分にさせられる映画は嫌いではないです。みんながみんなタランティーノである必要はないと思います。


70点(ストーリー25点+マイケルさんの緊張感に欠ける演技45点)

*1:僕自身の見解は狭いが。