タイムリミット

監督:カール・フランクリン 主演:デンゼル・ワシントン 2003年アメリカ 105分


いまだにデンゼル・ワシントンレーニングデイの演技でオスカーを獲ったのがいまいち釈然としません。なんかハル・ベリーも獲ったから、イベントで獲らせたあげたという匂いが。思い過ごしですか。

デンゼル演じる*1フロリダの警察署長が、重病の不倫相手を救うために押収した金を彼女に渡して暴力夫から逃がそうとする。ところが不倫相手はその晩、夫と共に自宅で焼死。嵌められたとはいえ、動機・状況など、デンゼルが怪しまれる要素が十分な上、連邦捜査官が例の押収金を引き取りにくると言うのだからさあ大変。なんとか怪しまれまいと、いろいろ手を回したり親友の手を借りたりして、デンゼルさんは文字通り奔走します。が、次から次へと襲い掛かる困難にデンゼルさん次第にテンパリはじめてきて、更には追い詰められてとった行動も裏目になって立場はどんどん泥沼化。自業自得とはいえ、ひとりあわてふためくデンゼルさんの姿が不憫であり、かつ笑いを誘います。

"誠実"と書いて"デンゼル・ワシントン"と読ませるくらい、やりすぎとも思えるほどの生真面目さが、彼の演技に対するイメージでした。が、今回の彼は眉間にしわを寄せてるというよりも、弱りきって眉毛が八の字なってしまうという情けなさが際立ちます。そもそも、不倫相手の彼女にいいとこ見せようとデンゼルさんが警察の金に手をつけたのが事件の発端なので、役の成り立ちからしてだらしなさ100%。哀愁さえ漂ってきます。そしてそれをしっかりと演じきれるデンゼル・ワシントンという俳優は、要するに単純に演技力が高い役者であるということです。いまさら気付いてどうする。

今改めて思い出してみると、支離滅裂かつ都合の良い展開で首を傾げたくなるような内容なのですが、デンゼルさんの確かな演技が半端な脚本を補ってくれています。彼の底力を思い知らされた次第です。

大作だと全体の雰囲気に流されて演技力は見極めにくい。こういう小品でこそ、役者はその真価を発揮出来るのではないのでしょうか。ということで、デンゼルさんがオスカー獲ったのは納得できました。でも、それがレーニングデイでっていうのがまだ納得できないでいます。もっとほかにもあったろうに。


80点(ストーリー45点+デンゼルさんのあわて顔35点)

おまけ:この作品でデンゼルさんと別居中の妻をエヴァ・メンデスが演じていますが、始終半開きになっている口から前歯が2本だけ覗いていてなんだかエロいです。作品を重ねるごとにエロさが増してくるようで、デニース・リチャーズ*2と並んで2大エロい顔女優の風格を得つつあります。俺の中でですが。

*1:あ、掛け詞っぽい。

*2:ていうかホワイト・シー・デビル