ヴァン・ヘルシング

直前に「これからの上映は日本語吹替え版となります。ご注意ください。」とアナウンスがあった。そんなことを場内で5分前に言われてもなあ。


ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、狼男が一堂に会する三つ巴のバトルロイヤルにバチカンからの派遣社員ヴァン・ヘルシングが乱入、混沌する戦況をぶち破るさまを、娯楽映画の雄・スティーブン・ソマーズが見事描ききる!と思ったら、ホントに混沌としたまま終わってしまいました。あら?
3大モンスターの因果関係の設定が頭でっかちだったり、ヴァン・ヘルシングのワケありっぽい過去をほのめかしておきながら、結局何もわからずじまいだったりと、続編を作る気満々なのかもしれんが、あまりにも中途半端で腰くだけ。ソマーズ監督の映画は「ザ・グリード」や「ハムナプトラ」のような後先考えないはしゃぎっぷりが魅力であり、そこを期待していただけに残念でございます。
これはおそらく、映画を平べったくする女優・ケイト・ベッキンセールがヒロインを演じていることが原因かと思われます。彼女は「パール・ハーバー」や「アンダーワールド」など、出演する作品をことごとく平べったいものにする恐るべき力を持っており、そんなベッキンさんと過剰なサービス精神のかたまりであるソマーズ監督との対決も見ものだったのですが、こちらのバトルはベッキンさんに軍配が上がったようです。ソマーズ監督でも手に負えなかったとは、おそるべしベッキンさん。


吹替えはヒュー・ジャックマン山路和弘リチャード・ロクスバーグ大塚芳忠と、ありそうでなかった夢の組み合わせ。これに安原義人が加わっていたら、誰が誰だかわからなくなるところでした。